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脱炭素コラム

TCFDシナリオ分析を徹底解説!具体的なシナリオ分析ステップまでご紹介!

いつもお世話になっております。

今回は「TCFDシナリオ分析を徹底解説!具体的なシナリオ分析ステップまでご紹介!」と題しまして、
TCFDのシナリオ分析の具体的な方法を解説いたします。

1.TCFDで求められる情報開示内容

TCFDとは、Task force on Climate-related Financial Disclosuresの略称となり(日本国内では「気候関連財務情報開示タスクフォース」)、G20の要請を受け、金融安定理事会(FSB)により、気候関連の情報開示及び金融機関の対応をどのように行うかを検討するために設立されたイニシアチブとなります。
TCFD提⾔では、全ての企業に対して気候関連のリスク・機会の情報開⽰を求めています。
TCFD提言の要素として、「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」の4つが存在しており、このうち「戦略」項目において気候変動シナリオ分析の実施が推奨されています。

TCFDに基づく情報開示として必要な項目
ガバナンス 気候関連のリスク及び機会に係る組織の
ガバナンスを開示
a.取締役会による監視体制の説明
b.評価・管理する上での経営者の役割を説明
戦略

気候関連のリスクと機会がもたらす事業、
戦略、財務計画への影響の開示

a.短期・中期・長期の気候関連リスクと機会の説明
b.リスクと機会が組織のビジネス、戦略、財務計画に及ぼす影響の説明
c.気候シナリオを考慮した戦略のレジリエンスの説明
リスク管理 気候関連リスクにおける
識別、評価、管理状況について開示
a.リスクを識別および評価するプロセスの説明
b.リスクを管理するプロセスの説明
c.リスクを識別・評価、管理するプロセスが総合的なリスク管理に
 どのように統合されているか説明
指標と目標 気候関連のリスクと機会を評価および管理する際の指標と目標の開示 a.戦略とリスク管理プロセスに即して、リスクと機会を評価するために
 用いる指標の開示
b.Scope1,2,3のGHG排出量を開示
c.リスクと機会を管理するために用いる目標の設定および目標に対す
 る実績の説明

出所:環境省 地球温暖化対策課 2022年3月 TCFDを活用した経営戦略立案のススメ ~気候関連リスク・機会を織り込むシナリオ分析実践ガイド 2021年度版~を基に船井総合研究所にて作成

2.気候変動シナリオ分析とは?

気候変動シナリオ分析とは、2℃⽬標等の気候シナリオを⽤いて、⾃社の気候関連リスク・機会を評価し、経営戦略・リスク管理へ反映し、その財務上の影響を把握・開⽰することとなります。
以下のような全体像となります。まずは、気候関連リスク・気候関連機会を評価していきます。

出所:環境省 地球温暖化対策課 2022年3月 TCFDを活用した経営戦略立案のススメ ~気候関連リスク・機会を織り込むシナリオ分析実践ガイド 2021年度版~

気候関連リスクには、大きく「移行リスク」と「物理的リスク」が存在します。
「移行リスク」とは、低炭素経済への移⾏と定義され、さらに、①政策・法規制リスク(例:排出量取引制度や炭素税などのカーボンプライシング、上場企業に対する情報開⽰義務の拡⼤など)、②技術リスク(例:新たな低炭素技術の台頭など)、③市場リスク(例:サプライヤーや消費者の炭素意識の向上、原材料コストの増加など)、④評判リスク(カーボンニュートラルに対する消極的な姿勢による投資家等のステークホルダーからの評判低下など)の4つに分類され、それぞれの視点から評価していきます。

「物理的リスク」とは、気候変動による物理的変化に関するリスクと定義され、①急性リスク(例:サイクロン・洪⽔のような異常気象の深刻化・増加による不動産損害・被害)、②慢性リスク(例:降⾬や気象パターンの変化、平均気温の上昇による事業低迷など)の視点から評価していきます。

気候関連機会とは、リスクの一方で機会(平たく言えば、ビジネスチャンスや経費削減など)もあるという考え方となります。
①資源の効率性(例:自社オフィスにおける省エネ技術の普及によるエネルギーコストの削減など)、②エネルギー源(再エネ需要の増加によるランニングコストの減少など)、③製品/サービス(環境配慮サービスの需要の増加など)、④市場(環境配慮技術の新市場の創出など)、⑤強靭性・レジリエンス(災害対応によるレジリエンスの強化など)の側面から評価していきます。

これらの気候関連リスク、気候関連機会の評価内容を基に、自社の経営戦略・リスク管理へ反映させていきます。
そして、それを財務上の影響として把握していくこと(財務報告書等での開示)がシナリオ分析となります。

財務上の影響の把握においては、移行リスク・物理的リスクを包含した複数のシナリオを選択(1.5℃目標など)し、評価していきます。

 

出所:環境省 地球温暖化対策課 2022年3月 TCFDを活用した経営戦略立案のススメ ~気候関連リスク・機会を織り込むシナリオ分析実践ガイド 2021年度版~

3.シナリオ分析の意義

現在、2021年のコーポレートガバナンスコードの改訂により、プライム上場企業に実質義務化されているTCFDに基づく情報開示となりますが、シナリオ分析をおこなう意義はどのようなものがあるのでしょうか。
脱炭素や気候変動というものは、⻑期的で不確実性の⾼い課題となります。その不確実性が高い課題を予め複数のシナリオに基づいて、整理しておくということは、企業が中長期的な戦略を構築、検討するに際にも非常に有益なものとなります。
特に、気候関連リスクが懸念される業種にとっては、対応すべき重要なことでしょう。

出所:環境省 地球温暖化対策課 2022年3月 TCFDを活用した経営戦略立案のススメ ~気候関連リスク・機会を織り込むシナリオ分析実践ガイド 2021年度版~

4.船井総研のシナリオ分析サポート

ここまで、シナリオ分析の流れや具体的な方法を解説させていただきましたが、昨今の流れからTCFDに基づく情報開示は、プライム上場企業の実質義務化から派生し、スタンダード上場企業、グロース上場企業…中堅・中小企業へと要請が広がっていくことは間違いないでしょう。
前述の通り、脱炭素や気候変動というものは、⻑期的で不確実性の⾼い課題となります。その不確実性が高い課題を予め想定し、自社の戦略を考えることは企業経営において非常に重要です。ぜひ、その視点でTCFDに基づく情報開示およびシナリオ分析を進めていただければと思います。
船井総合研究所では、皆様のTCFDに基づく情報開示をサポートしております。

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